南郷アートプロジェクト

南郷のおうち

会 期
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食(フード)で風土を味わう。

現代美術家EAT&ART TAROが南郷の「とあるおばあちゃんのおうち」で、特別じゃないけどどこか「風土」を感じさせる食べ物をふるまう企画。


全国各地で食とアートを結びつけるプロジェクトを仕掛ける現代美術家EAT&ART TAROが、南郷で活動する中で出会った、どこか「風土」を感じさせる食べ物が味わえる「おうち」を開く企画。


石川県の「ヨバレ(※1)」のように、南郷の親戚の家に行くような気軽さでくつろげる空間、たまにおばあちゃんが「ご飯を振る舞ってくれる」場所を作りたいというアーティストの構想から始まった。


EAT&ART TAROの南郷での活動は3年になる。2016年の「食通-Food correspondence-」では、作った料理を文通のように宅配便で送り合う企画を南郷と香川県高松市の人たちで行い、遠い地域の住民同士の交流に繋がった。最後は料理にとどまらず、高松の参加者が南郷を訪れるサプライズも。2017年は南郷の料理上手なお母さん方から料理を教わり、「なんごうレシピ」として、一冊の本にまとめた。


そして、2018年に行ったのが「南郷のおうち」である。地域の方のご好意で貸していただいたお宅には、古めかしい木製のテーブルや熊の置物などがあって、昔のおばあちゃんの家の雰囲気を感じさせてくれる。


最初は入っていいのか不安げだったお客さんも、出されたお茶を飲んでいるうちに、少しくつろいでくる。そこに次々と「やなぎばっと(※2)」や「がっくら漬け(※3)」などといった料理が振舞われる。「南郷の煮しめはよくさつまいもが入っている」「捕鯨漁に行ってた人が多かったからかクジラをよく食べていた」など、EAT&ART TAROが語る南郷の食にまつわる豆知識に、お客さんも盛り上がる。気づけばお腹もいっぱいで、まだ食べ物が出てきそうな気配に、最後は「もういいです」と席を立つ。


そして、帰り際に渡されるのが「お手紙」。そこには、お茶やコーヒーにはじまり、どんどん料理が出てきて、最後にお土産までもらうという、これまでEAT&ART TAROが南郷で味わった「恐縮してしまうくらいのおもてなし」をお客さんにも感じてもらいたかったことが書かれている。


訪れて分かるよさもあるけれど、暮らしてみないと分からないよさもある。アットホームなこの空間には、一朝一夕ではなかなか味わえない、南郷の魅力がぎゅっと詰まっている。


※1)ヨバレ…祭りの日に、客人を自宅に招きごちそうでもてなす石川県の風習
※2)やなぎばっと…きのこや野菜が入った汁に、柳の葉の形に切ったそばを加えた汁物。
※3)がっくら漬け…鉈で大根を削いで塩と米麹で漬ける漬物。

概要

名 称
南郷のおうち
日 程
2018年10月20日(土)〜11月11日(日)の金・土・日 10:00〜16:00
場 所
舘のやかた近くの個人宅
アーティスト
EAT&ART TARO(現代美術家)
アシスタント
越智亮太

プロフィール

現代美術家

EAT&ART TARO

調理師学校、飲食店を経てアーティストに。これまでに、自分で購入したものが次の人のものになってしまう、おごることしかできないお店「おごりカフェ」や、昭和の料理本を調査収集し、レシピ再現などを行う「レトロクッキング」、美味しいおにぎりを食べるためだけに参加者と共に運動会をする「おにぎりのための、毎週運動会」など食をテーマにした作品を多数発表している。大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ(新潟)、瀬戸内国際芸術祭(香川)など。

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