南郷アートプロジェクト

なんごう彩り研究所

会 期
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土地が育んだ「見えない色」を感じる

染色作家の岡博美を“所長”に「南郷の四季の色」を集め、参加者の方々と一緒にアート作品をつくりあげて芸術祭で展示するプロジェクト。


「なんごう彩り研究所」は、染色作家の岡博美を“所長”に、南郷の四季折々の植物で草木染めを行って集めた「南郷の四季の色」を素材とし、参加者と一緒にアート作品をつくるプロジェクトである。2年をかけて、草木染めの体験ワークショップを春夏秋冬で4回行い、作品制作へと移行する計画で行われた。


ワークショップは、定員を超える回もあるほどで、参加者の中には毎回参加する人や他県から1時間以上かけて来る人もいた。「染め」だけでなく、「植物採集」も行うことも人気の理由だったようだ。


参加者は山の楽校や水辺の楽校の周辺をゆったりと散策しながら、春はヨモギやタンポポ、夏はヒマワリなどその季節に生えている植物を採集し、南郷公民館へ持ち帰って染色を行う。同じ素材でも、採集した季節や採集場所、水質などで染まり方や色が変わってくる。使用する媒染剤も0.1g、0.1cc違うだけで全く結果が変わってくるのでとても奥が深い。


作品制作ではとにかく物量勝負。染めた布を使って作る葉や花のモチーフの数は何千枚に及んだ。プロジェクト参加者だけでなく、地域の方々にも声をかけ、総動員で制作にあたった。


それらのモチーフを、落ち葉のように組み立てて古民家に吊るし南郷の四季を凝縮した空間ができあがった。部屋に入った瞬間に目に飛び込んでくる大量の色にお客さんは驚く。「綺麗だね」「こんなにたくさん作るの大変だったでしょう?」と労ってくれる声も。


この会場で美術作品を展示するのははじめてのこと。最初は不安そうだった会場の管理人の方も、作品ができ、それらを見て熱心に質問してくる人を前に、「これはブルーベリーで染めたんだ」「この色はあそこに飾ってある」と丁寧に対応してくれた。


足を使って植物を探し、1日がかりで布を染め、何日も手を動かしてパーツをつくる。多くの「テマヒマ」がかかっているからこそ、南郷の彩りが生み出した光景は、お客さんだけにとどまらず、関わった人たちを惹きつけるのだ。

概要

名 称
なんごう彩り研究所
日 程
2018年10月20日(土)〜11月11日(日)9:00〜17:00 ※月曜日、10月28日(日)を除く
場 所
舘のやかた
アーティスト
岡博美(染色作家)
制作
岡博美 + なんごう彩り研究所参加者

プロフィール

染色作家

岡 博美

1976年、三重県生まれ。
染工房「呼吸 -kokyuu-」を、京都造形芸術大学大学院在籍中に設立。2004年に同大学院芸術表現専攻修士課程修了。
染織技法を活用したインスタレーションや平面作品を国内外で多数発表。また、藍染を中心とした天然染料の研究を行っている。

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